« リンゴをついばむ鳥たち | トップページ | メジロの視力表? »

2021年2月 8日 (月)

「これきりと見えてどつさり春の霜」  一茶

所長 北村 豊

 昨日の日曜日の朝は冷え込みが強かった。そのおかげで、診療所の草は霜化粧をしてとても素敵に輝いていて、思わずかがみ込んでその美しさに見とれてしまったほどである。

 ご存知のように風も弱く穏やかに晴れると放射冷却が地表近くでおき、地上数mの高さより地表のほうが冷えるため、霜点に達してまさに自然の芸術である霜を形成する。ほとんどの化合物と元素は、温度変化により大気圧中では固体・液体・気体の三態間を順番に相転移し、水の場合は氷→水→水蒸気となるが、霜(固体)をつくる時は、水蒸気から水をとび越して固体の霜になるのだが、化学や理科を学習した読者の方は、そういえばそのような飛び越して相転移することを「昇華」と習ったなあ、と思い出していただきたく、この現象のおかげで冬の足元、いや、車のボンネットの上でさえ、自然で生の精緻な芸術作品の鑑賞ができるチャンスは2月3日の立春を過ぎたのでだんだんと少なくなってきてはいるがまだ残されている。

 地上の気温の測定方法は、世界気象機関(WMO)により規定されており、地上から1.25~2mの高さで、温度計を直接外気に当てないようにして測定することと定められている。

 しかし、日本では気象庁が測定高さを1.5mと決めていて、風通しのよい白塗りの百葉箱の中にその温度計が、小学校や中学校にもあったのを思い出す方も多いのではないだろうか?

 小学生の頃には体格も小さいため大きく感じたあの白い隙間だらけの箱がそれ位の高さだったのであるが、今はほとんど見かけなくなってしまった。

 子供の頃は自分が小さいため何でも大きく見えるもので、母の姉の墓が大阪の寺町にあり、そこは大阪場所に出場する相撲取りの宿舎にもなっていて、そこで出会った相撲取りの“あまりの巨大さ”に、象とまではいかないが、この世にこんなにも大きな同種の生物である人が存在することを強烈な驚きをもって印象づけられたことを思い出す。

 さて、脇道に逸れてしまったが、百葉箱のおもしろい話をしたいと思う。皆さんは、百葉箱の名前の由来を知っておられるだろうか?百葉とは、牛や羊の胃粘膜の襞のことを中国では古来より意味し、医学用語では皺襞(シュウヘキ)と言うが、その形状が百葉箱の周囲をブラインドの表面のような板が重なり合っているのに似ていることから名付けられたとのことである。

 胃も体内の深いところに存在するが、百葉箱にも深い意味があったのですね。

 

Img_2615

Img_2618

Img_2617

4_20210208134901

52_20210208133901

オンボロの青い車のボンネットにできたとても美しい霜の結晶。

美女と野獣といったところでしょうか‥‥‥。

« リンゴをついばむ鳥たち | トップページ | メジロの視力表? »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« リンゴをついばむ鳥たち | トップページ | メジロの視力表? »